プレス金型:詳細設計
- 厚板打抜き用ブロックパンチとは 厚板や高張力鋼板(ハイテン)などの打抜きでは、刃先部の摩耗や折損、チッピングの他にフランジ部が破損することがしばしば起こります。これはフランジ部に発生する応力集中と引張り衝撃力が主因とされています。ミスミの厚板打抜き用ブロックパンチは、フランジ部の形状を変えて焼きなましをすることでフランジ部にかかる応力・衝撃力の低減を図った製品です。 フランジ部破損の原因につい
- 商品開発の経緯 絞り工程ではパンチ・ダイへのコーティングが主流になっています。一方でミスミでは絞りダイの表面処理商品を規格化しておらず、多くのお客様がご購入後に自社で表面処理を施している状況でした。近年その改善を図るために、絞りダイの表面処理商品を規格化してほしいという声が多く寄せられていたため今回標準品としての販売を決定しました。 特長 1)摺動性の向上 絞りダイにコーティングを施すこと
- 商品開発の経緯 ミスミでは、時代の変化に合わせ様々な下地処理やコーティングをパンチに施すことで、高寿命化を実現してきました。 一方で、ボタンダイの表面処理商品は規格化できていないため、多くのお客さまがメンテナンス工数を削減できていないか、 あるいはご購入後に自社で表面処理を施している状況でした。近年その改善を図るために、ボタンダイの表面処理商品を規格化してほしいという声が多く寄せられていました。
- ミスミのコイルスプリングは、識別と防錆の為に全て塗装をして在庫をしておりますが、使用中に塗装の剥離が問題となるお客様のご要望にお応えして、コイルスプリング塗装剥離の追加工を開始しました。 塗装剥離追加工概要 塗装剥離追加工は、塗装済みのコイルスプリングにショットピーニングをかけ塗装を落とすものです。塗装剥離後には防錆のために油を塗布します。 加工後は識別の塗装が取れバネそのものの素材がむき出し
- WPC®処理パンチの特長 1.疲労強度の向上 WPC®処理は0.04~0.2mm程度の微粒子を100m/s以上の高速で金属表面に衝突させるため、パンチの表面付近に高い残留圧縮応力が発生します〔図1〕。この結果パンチの疲労強度が向上するため、刃先折損やチッピングに対して効果を発揮します〔図2〕。例えば図2において、刃先に1,200N/mm2の荷重が繰り返し加わる場合、SKD1
- パンチ&ダイの表面処理とは パンチ&ダイの表面処理とは、ショットピーニングや窒化処理による母材自体の表面改質や、その上に薄い硬質膜(コーティング)を乗せることで、耐摩耗性を飛躍的に向上させ長寿命化を実現する技術です。ミスミではお客さまのプレス環境の変化に合わせてさまざまな下地処理やコーティングをパンチやボタンダイに施してきました。お客さまの課題に最適な表面処理を選定することでメンテナンス工数や
- はじめに 自動車業界では近年、軽量化・安全性向上の世界的な要求の高まりにより、高張力鋼板(ハイテン材)の使用が拡大しています。 高張力鋼板の打ち抜き条件は年々過酷になっており、早期摩耗やチッピングが問題となっています。 そのため、パンチの高寿命化に関心がよせられています。 この課題を解決するために、「皮膜の密着性」、「耐摩耗性」を向上させたコーティングパンチを商品化しました。 このコーティング
- 打抜き打工具に必要な特性は、耐摩耗性、耐圧縮性及び靱性ですが、粉末ハイス鋼や各種表面処理方法の活用により工具の寿命は大幅に延びており、打抜き条件により使い分ける必要があります。 そのためのデータとして、SKD11、SKH51、SKH40(粉末ハイス鋼)の材質のパンチの打抜き寿命、座屈及び抗折試験の結果を以下に示すものです。
- カス上がり対策逆テーパダイとは 部品軽量化の流れで高張力鋼板(ハイテン材)などの引張強さが高い材料の打抜きが近年増加しています。一般的にハイテン材は、抜きカスの収縮量が大きく[図1]、せん断面の長さは短くなるため[図2]、従来の対策ではカス上がりが抑制出来ないケースが増加してきています。 そこでミスミでは、抜きカスの収縮量を考慮したテーパをダイ内部に施した逆テーパダイを開発しました。微小なテ
- DLCコーティングパンチとは アルミニウム合金を中心とした非鉄金属材料のプレス加工は製品の軽量化と塑性加工のしやすさから広く採用されるようになってきました。アルミニウムは鋼に比べ低融点・低硬度であるためパンチやパイロットパンチの刃先に凝着しやすく、穴径の精度不良やミスフィード等のトラブルを引き起こし、プレス加工現場で問題となっています。 凝着はパンチ(鋼)とアルミニウムとの親和性が高いことによ
- 概要 ミスミ「HWコート」をはじめとした多種多様な表面処理パンチは自動車業界を中心に多くのお客様にご使用いただき、高い評価をいただいています。 一方で、超ハイテンや厚板ハイテン材の加工などの過酷なプレス加工が年々増え、HWコートを含めた従来品ではコーティングの早期摩耗や剥離が発生するため、パンチのさらなる長寿命化を要望する声がよせられています。 ミスミではハイテン材や厚板の打ち抜きで耐摩耗性向上
- 概要 ミスミのパンチに適用されるTiCNコーティングはPVD方式(物理蒸着)によるコーティングです。TiCNコーティングは高硬度、低摩擦係数でパンチの耐摩耗性を向上し、現場のメンテナンス工数削減や製品の品質向上に貢献します。 処理温度は500℃未満のため、焼き戻し温度が500℃以上の母材を硬度低下あるいは寸法変化させることなくコーティング可能です。したがって処理後の寸法・精度が保証されているの
- 打抜き加工中にパンチ刃先の折損やツバ部の破損等のトラブルが発生する場合があります。 これらのトラブルの原因は、標準部品に対する技術データの不足や、打抜き工具の材質及び形状の選択ミスによる場合が多く見受けられます。これは、これらのトラブルを減少するために、工具鋼の疲労強度や、ツバ部の応力集中等を考慮した、パンチの適正使用基準を示すものです。 1.打抜き力の計算 打抜き力P[kgf]
- パンチ&ダイの形状 形 状 刃先の輪郭長さℓ 対角線(外接円)K 断面積 S 丸
- ストリッパガイドのプレート加工誤差や接着隙間の影響 金型製作時、パンチプレートとストリッパプレート及びダイプレートの加工誤差・ガイドブシュの接着隙間などが影響し、パンチを挿入する際に芯ずれが生じる場合があります。このような状態でパンチを挿入すると、芯ずれによりパンチは変形し、折損や異常摩耗の原因となります。 それらの原因を解決する為には、以下のような方法が考えられます。 対策方法 I パ
- カス詰まりの要因 カス詰まりの要因として、一般に下記の点が挙げられています。 ダイ刃先のストレート部が長過ぎる 裏逃げ形状が不適切(逆テーパ形状になっている) ダイ内面の表面粗さが粗い ダイ、バッキングプレート、ダイホルダの穴の芯ズレにより段差が生じている 抜きカスが重なり棒状に連なって落ちる際に、逃し穴内でつかえる カスが磁気を帯びる 特に薄板材の抜きや小穴抜き等では、抜き
- 耐摩耗用超硬工具の対照表 用途 使用 分類 記号 タンガロイ 住友電工 ハードメタル 三菱 マテリアル ダイジェット 工業 日立 ツール 冨士 ダイス 日本 タングステン サンアロイ 工業 共立合金
- 厚板打抜き用パンチ・テーパヘッドパンチとは 厚板や高張力鋼板などの打抜きでは、パンチの刃先部の摩耗や折損、チッピングの他にパンチ頭部が破損することがしばしば起こります。このパンチ頭部の破損は、パンチ頭部に発生する応力集中と引張り衝撃力が主因とされています。ミスミの厚板打抜き用パンチ・テーパヘッドパンチは、パンチ頭部の形状を変えて強度アップを図ったパンチです。
- (1)プレス加工の自動化 プレス加工の自動化を大きく分類すると次のように表現できます。 1)プレス材料供給の自動化 2)単発プレスの自動化(順送プレス化) 3)プレス工程間の搬送作業の自動化 1)~3)の項目では、項目(2)はプレス金型設計者の専門技術が必要となるため自動化の対象は1)、3)と言えます。1)と3)の自動化により、プレス精度(品質)、変形防止、生産性や安全性などの
- 【図1】のような形のパンチはプロファイルグラインダ(PG)で加工されます。加工コストが多くかかります。小さな形状のパンチに多いわけですが、ワイヤーカット放電加工(WEDM)ではストレート加工となるため、段付きパンチの加工には向いていないと考えられています。 しかし、WEDMの効率的な加工を使えば【図2】に示すように、パンチを分割して作ってもPG加工に見合うものがあります。
- 金型の組立方法にはパンチプレート基準とストリッパ基準があります。 パンチプレート基準の組立はパンチの位置と垂直をパンチプレートで保つように考えたものです。 ストリッパ基準の組立はストリッパでパンチの先端をガイドして、ダイとの関係を保つと共にパンチの破損を防ぐ考え方があります。 パンチプレートはパンチがぶれないように保持することを考えます。
- 入れ子式(インサート式)の金型構造は、高精度金型や量産金型に多く見られます。精度を高めた入れ子部品を作り使う、超硬合金などの寿命対策を考えた材料を使う等からきています。 では入れ子は【図1】のような割ブロックで作るのがよいのか、【図2】のような一体式がよいのかの選択はどのようになっているのでしょうか。
- 可動ストリッパ構造の金型で下曲げパンチ等があると、ストリッパの可動量が大きくなりパンチガイド部分からパンチが外れることがあります。 その状態を示したものが【図1】です。拡大で示した部分がパンチの外れた状態を示しています。 ストリッパでパンチガイドをした設計の金型では、このようになるとパンチがストリッパには入るときに刃先を痛めてしまいます。 順送金型ではよく起こる現象です。対策として
- 切り上げパンチの普通の設計では【図1】のような形になることが多いと思います。 植え込み形状を長方形のすっきりした形とした設計です。この時の切り上げ加工方向を矢印で示しましたが、L形状内側が切り上げ量が多くなり問題が残ります。 その対策として、L字内側の植え込み部分を削り、切り上げ量を小さくしたものが【図2】です。
- ダイやパンチの凹の角部にRの無い角を作りたいと考えたとき、どこまで可能なのか。どのような手段で実現できるのか。効率よく作ることができるのか。コストは。といった問題をクリアすることが必要です。 パンチやダイは金型の重要部品です。通常は焼き入れされていますから、加工は研削か放電加工またはワイヤーカット放電加工が想定されます。 研削は成形研削とプロファイル研削及びジググラインダが考えられます。
- 薄板の抜き加工で、パンチとダイのクリアランスを合わせることに設計で苦労することがあります。それは金型を構成する金型部品に誤差があり、その兼ね合いで最適条件を作ることができなくなることがあるからです。 最も精度の良いと思われる研削加工で温度管理されたところで金型部品を加工しても、±2μmが位置や形状精度としては良いところではないでしょうか。一般的には±5μmの精度でしょう。 このような精度で
- 生産ラインの中には、色々な加工技術が編成されています。この多種類の加工工程を自動化するには、個々の加工の特色を理解して対応する必要があります。ここではプレス加工を例に解説します。
- 外段取りで金型を準備してプレス機械の停止時間を短縮することは、段取りの重要な部分です。特に大きな金型になると、何もしないでいると、プレス機械の停止時間は非常に長いものになります。 その対策として使われるものが「金型交換テーブル」です。多い形はプレス機械の前に固定して使うものです。床にレールを敷き移動できるようにしたものもあります。 交換前の金型は金型置き台に置かれます。この置き台を回転式
- 小さな金型では、手で持ち、金型をプレス機械のボルスタプレートに乗せることができます。しかし金型が大きくなると、台車等からプレス機械のボルスタに移す作業が大変になります。この作業を手助けするために作られたものが「プリローダ」です。 【図1】のように、ボルスタの前に取り付けます。構造は突き出した形状の上にベアリングが組み込まれていて、重い金型を小さな力で動かせるようにしています。ボルスタプレー
- 【図1】は、ラック・ピニオンを利用したアンローダです。ラック・ピニオンは往復運動を回転運動に変えたり、その逆の動作をさせたりすることによく使われます。このアンローダのように、往復運動の方向を変換する機構としても使われます。
- 上型に製品が残る金型では、空気圧等で型外に加工した製品を排出しますが、信頼性に疑問を持つことがよくあります。確実に回収したいときに使われる方法が「ショベル式のアンローダ」です。 機械式方法の代表的なものが【図1】のパンタグラフを利用したアンローダです。自社でも容易に作ることができます。プレス機械のストロークに連動して動くので、間違って金型でショベル部分を挟んでしまうことはありません。金型に
- ダイプレートを通過して、落ちる小さな製品を回収する方法に「ホース」を使う方法があります。散乱せずに回収できるのでよい方法なのですが、ホースの中に詰まると大変なことになります。できれば通過センサーと併用して、確実に一つずつ回収できたことを確認することがよいです。 また【図1】に示すように、自然落下だけではなくエアーの流れを作り、その流れに乗せて回収することもよい方法です。ホース内を流れるエア
- エアーを利用して製品を回収することは多くあります。飛ばされた製品は散乱しないようにダクトを使うことがあります。 ダクトを薄い金属板で作ると、吹かれたエアーがダクトの壁にぶつかり、流れを乱してダクト内から跳ね出してきたり、製品がダクトの壁に当たり変形する等の不具合を起こすことがあります。 これはエアー流の乱れが原因することが多いのです。エアー流を素直に通過させるためにダクトの壁をネットにしま
- 型上に残った製品を型外に排出する、最も簡単な方法がエアーで吹き飛ばすことです。【図1】がそのイメージです。金型の外側にエアーノズルを取り付けて、そこからエアーを吹きます。上型は上死点近くにあることが多いと思います。このような状態でノズルからエアーを吹くと、エアーは拡散して広がり、製品は思わぬ方向へ飛ぶことがあります。ときにはダイセットのガイドポスト等に当たり、跳ね返って型内に入り込み、トラブル
- 成形加工でのトリミングのスクラップやカットオフ形式の順送加工では、ダイプレート上に残る製品の回収方法として、シュート(【図1】)はよく使われます。シュート上をうまく材料が滑ることを期待しますが、面積の大きなものでは油等の影響もあり、シュート上に張り付いてしまい、回収がうまくいかないことがあります。 その対策としては接触面積を小さくすることが思いつきます。【図2】は細い丸棒を取り付けて抵抗
- 三次元トランスファー送り装置の動きは【図1】に示すように、トランスファーバーの「開閉」動作と「送り」と「戻り」の運動に加えて、製品を「上下」にも動かし移送します。上下の動作が入ることで、金型にはネスト(位置決め)を備えて、その中に置くことができるため、金型の構造設計が通常の単工程型に近いものが使えるようになり、おおくの製品加工に対応できます。 しかし、トランスファーバーの動きが複雑になり各動
- 二次元送りのトランスファー送り装置は、トランスファー加工の中で最も多く利用されている製品の移送方法です。トランスファー送り装置の動きは【図1】に示すようにトランスファーバーの「開閉」動作と「送り」と「戻り」の運動で製品を移送します。 製品は平面上を移動します。そのため製品移動は金型面を滑るように移動しますから、製品移動面の高さを統一しておく必要があります。フィンガーが製品を掴んだ状態か
- 一次元送りのトランスファ送り装置は【図1】に示すように、トランスファーバーが「送り」と「戻り」の往復直線運動で製品を移送します。このような動きから「直線トランスファ送り装置」と呼ぶこともあります。動きがシンプルなので加工速度を高めることが比較的容易です。
- プッシャフィーダは、ロールフィーダやグリッパフィーダのようなコイル材を扱う送り装置とは異なり、【図1】に示すように、ブランクを積み上げて金型内に送り込む装置です。コイル材やシート材を扱う送り装置を「一次送り装置」と呼びます。コイル材やシート材から作られたブランクや切り板(スケッチ材)を搬送する送り装置を「二次送り装置」と呼びます。トランスファフィーダ等も二次送り装置の仲間です。 【図1】は
- ヒッチフィーダは、スプリングを利用した爪クランプで材料を掴み、送り動作をします。 送り動作は往復運動で行います。移動クランプと固定クランプの2種類のクランプを持っています。この形からグリッパフィーダの一種といえます。 ヒッチフィーダは金型に取り付けて使用します。往復運動の動作は、上型またはプレス機械のスライドに取り付けられたカムドライバで移動クランプを動かして行います。 【図1】は、
- グリッパフィーダは2つのクランプを操作して、材料送りを行います。2つのクランプの一つは固定クランプ、材料を押さえたり、開放したりします。もう一つのクランプは移動クランプです。材料を掴み、移動させます。ロールフィーダはロールの回転を利用して材料送りを行いますが、グリッパフィーダは移動クランプの往復運動で材料送りを行います。 クランプと往復運動の動作を空気圧利用で行うエアーグリッパフィーダと、プ
- ローラフィーダは、送りロールと上ロールで材料を挟み、送ります。材料送りが完了した後に、金型はパイロットで材料送りの誤差を修正します。この時に、ローラフィーダは材料の押さえを解除して、パイロットでの材料送り長さ修正を容易にする必要があります。この材料押さえを解除する機構を「ローラリフタ機構」と呼びます(【図1】参照)。 また、送り装置から材料を開放することを「リリーシング」と呼びます。材
- ローラフィーダの連接棒で駆動される揺動アームは、往復角運動をします。往復運動の片側の動きで送りローラを動かして材料を送ります。戻り行程では送りローラは回転せず、何もしません。この動作を行うには、送りローラをコントロールするクラッチ(一方向クラッチ)が必要となります。ベーシックな一方向クラッチを以下に説明します。
- 自動でプレス加工するときに材料を金型内に送り込む装置を「材料送り装置」と呼びます。その代表的なものがローラフィーダです。ローラフィーダは【図1】に示す構造をしています。固定された軸を中心に、送り長さ分の間欠回転をする送りローラと、材料を押さえながら挟み込む押さえローラの、二つのローラで構成されます。
- 材料内部にひずみのあるものをプレス加工すると、ひずみが大きくでてくることがあります。このような問題を解決するためにレベラーは使われます。その方法を示したものが【図1】です。材料に交互に変形を与えることで、材料内部のひずみが取り除かれます。この繰り返し掛ける変形もそのままにしますと、新たなひずみとして材料に残ってしまうので減衰して、ワークロールからでるときには平らな状態になるように調整します(プ
- アンコイラーから出てきた材料にはコイルの巻きぐせ等のひずみがあり、プレス加工に影響することがあります。このひずみ取りに使われる装置がレベラーです。 レベラーは【図1】に示すように、アンコイラと送り装置間に置かれます。【図1】に示すようなレベラーを独立型レベラーと呼びます。比較的材料板厚が薄いものに多く使われています。精密レベラーと呼ばれることもあります。 レベラーは【図2】に示すよ
- 【図1】がS字ループの形です。ループをS字状にコントロールしたものです。ダウンループ、アップループ共に、ループ部分の材料重量がバックテンションの形で材料送りに影響します。この影響を少なくするために考えられたループ形状です。形状から厚板には適しません。 バックテンションや送り装置入り口での材料のバタツキを軽減することができるため、高速加工に適したループコントロールです。 S字ループで
- 【図1】がアップループの形です。ダウンループでのアンコイラと送り装置間の距離が長くなる欠点を、ループを上部空間に持って行くことで、距離の短縮をねらったものです。薄板材に使われることは少ないですが、材料の厚さが1mm程度以上の材料には多く使われています。 このアップループでは、バックテンションにより材料が引き戻されることはなく、逆に押す方向で力が作用します。送り装置のリリーシング動作と金
- 【図1】がダウンループの形です。ごく一般的な材料のたるみの取り方です。薄板材から厚板まで幅広く使われています。材料が自然に作るループに必要な距離(図中のL寸法)は、材料板厚の1600倍前後は必要とされています。その間で作られるたるみは床に着いてしまうことがあります。その対策として、ループが接地する部分の床を堀込むことも行われます。 このダウンループは、送り装置とアンコイラ(またはレベラ
- コイル材を【図1】に示すような材料ストック部に置き、ピンチロールによって巻きほぐします。 材料ストック部は最大幅が入る構造となっています。この部分には材料幅にあわせて保持するガイドがあり、コイル幅の変動にあわせて対応できるようになっています。この部分にコイル材を入れるには、後ろから転がし入れるか、クレーンで吊り上げ入れるかのどちらかの方法が取られます。 落とし込まれたコイル材は下部に
- コイル材を【図1】に示すようにアンコイラのターンテーブル上に平置きして、コイルを巻きほぐす形式のアンコイラです。 材料メーカーから搬入されるコイル材の荷姿は、パレット上に数コイルを平置きした形です。【図1】では1つのコイル材をターンテーブルに乗せた状態を示していますが、材料メーカーから搬入されたパレットごと、ターンテーブル上に置くことができます。このようにできることで、アンコイラーへの
- 【図1】は、100kg程度までの軽量コイル材に使われることの多いアンコイラです。一般的にはリールスタンドと呼ばれています。薄板材の順送り加工では設備も安く、設置は置くだけでよいのでよく使われています。
- 【図1】は、コイル材を利用した自動化システムの構成を示しています。 構成としては、まずコイル材を保持して、巻きほぐす装置が必要です。これをアンコイラと呼びます。軽量なコイル材から1トンを越える重量級のものまであります。また、薄い材料、厚い材料もあります。その内容に合わせてアンコイラには、いくつかのタイプがあります。 アンコイラから巻きほぐされた材料は、たるんだ状態を作ります。このた
- 金型によって加工された製品は、
- コイル材を加工して、製品をコイルに巻き取る加工を「コイルtoコイル」と呼びます。 この加工はコネクター等の製品に多く見られます。このような加工では、途中で異常が発生すると発見できずに、製品として巻き取られた最終端で発見されることが多いです。この場合は巻き取られた製品コイルは不良となります。しかし、異常製品が流出しないですんだことは幸いといえます。かす上がり異常のように途中で発生して、すぐに消
- コイル材の加工では自動加工が前提であることが多いと思います。調子よく加工をしていて、材料の終わり部分が送り装置に引っかかり加工ミスが発生して金型を壊した、という事故は意外と多いのです。注意していたのだがうっかりした。という状況なのですが、仕事では注意するという状況はできるだけなくすようにします。 その代表的なものが材料の終端検出です。【図1】に示すようなイメージです。終端の検出は簡単です。
- 【図1】に示すようなコイル材を使ったプレス加工では、アンコイラと送り装置間の材料のたるみの管理が必要です。このたるみ管理をループコントロールと呼びます。【図1】で張り限界と示した破線の形になると、金型内の材料送り異常となるばかりでなく、小形のアンコイラでは引き倒されてしまうこともあります。 材料は材料送りに連動して滑らかに連続的に巻きほぐされることが理想ですが、多くのアンコイラではルー
- 順送加工で材料が座屈する加工異常が時折見られます。大きな金型破損につながる怖い現象です。 座屈の発生原因としては(【図1】参照)、
- 順送加工や穴抜き加工等で、抜きかすがダイに詰まり金型を破損する現象を「かす詰まり」と呼びます。ダイの刃先が長い、パンチ・ダイ刃先の劣化等が主な原因です。【図1】に「かす詰まり状態」と示したようなイメージです。 かす詰まりの検出はかす上がりの検出より面倒です。【図1】のかす詰まり状態の部分に作用しているのはパンチです。パンチにかかる負荷による変位はダイハイトに現れます。「この変位を検知す
- 順送加工や穴抜き加工で、抜きかすがダイを通過して下に落ちずに、何らかの理由でダイ面上に残ってしまう現象を「かす上がり」または「かす浮き」と呼びます。 【図1】に「かす上がり状態」と示したイメージです。このようになると送られてきた材料がこの上に乗り、材料に傷を付けることになります。しかし、かす上がりした抜きかすは材料について移動し、型の外へ出てしまうとキズの発生は止まりますから、正常な抜き状態
- 材料送りされた材料の端部を検出して材料送り異常を検出する方法です。【図1】は曲げの面を利用して検出することを考えたものです。面を検出するので検出ミスが少なくなり安定した検出ができます。検出が正常であれば、キャリア部(製品と製品をつないでいる部分)をカットすることで製品を回収することができますので、製品の排出確認も兼ねることも可能です。 【図2】は、材料を切断するときの形を例に示したもの
- 順送り加工で材料の一部を切り欠いて、その切り欠き部分を利用して、材料の送り異常を検出するものです。 【図1】にその原理を示します。材料の一部を切り欠きます。その状態で材料送りをすると、切り欠き部分に検出スライドが飛び込み正常な送り状態を確認します。 次の材料送りで検出スライドは斜面を押され押し戻され、【図2】の状態となります。この状態は材料の送り途中か、材料の送り不足または送りすぎ
- 順送り加工ではサイドカットを利用して、材料送りをコントロールすることがあります。サイドカットは材料の端を送りピッチに準じた長さで切り欠き、その部分の端を金型のストッパに突き当てることで送りピッチを決めます。 このときに【図1】に示すようにストッパ部分に揺動レバーを設けることで、送り異常を検知するように考えられたものです。【図1】がその内容を示したものです。この方法では送り長さがショートしたと
- 検出ピンと材料の間に弱い電気(6V〜12V)を流しておき、検出ピンが材料に接したときに電流が流れて材料の送り異常を検知してプレス機械の運転を止めます。 この方法の金型内の取り付け状態を示したものが【図1】です。検出ピンは絶縁された状態で取り付けられます。検出ピンが材料に接したときに通電し、異常を検出しますから機械的に動く部品がないため動作時間が早くなります。検出ピンの入る部分は穴でなくとも
- 順送加工で、材料の送り異常は加工ミスをまねき金型の破損原因となります。その材料の送り状態を確認して異常があればプレス機械の運転を停止させて、トラブルを最小限に押さえ込むことを目的に使用されるものがミスフィード検出です。 【図1】は可動ピン式ミスフィード検出が組み込まれた金型を示しています。以前に「ミスフィード検出ユニット」として紹介しています。また、「ミスミ」カタログに「ミス検知関連部品」
- コイル材からの自動プレス加工をするときには、【図1】に示すような設備構成が必要です。 コイル材を保持し、材料を巻きほぐすアンコイラ。材料を型内に一定量送り込む送り装置。送り装置はプレス機械に取り付けられる場合と、金型に取り付ける場合があります。このような素材用の送り装置を『一次送り装置』と呼びます(ブランク抜きされたような材料を送る装置を『二次送り装置』と呼びます)。プレス機械に金型が取り付
- 円筒絞りの工程設計を「円筒絞りのブランク展開(円筒絞りの工程設計 円筒絞りの工程設計 その2)」で示した製品を例に必要な内容を検討してきて、最後に各工程の絞り高さについての説明です。 絞り高さを計算する専用の計算式がありますが、形状によっては簡易な方法があります。ここではこの簡易な方法について説明します。 【図1】の「計算内容」を参照してください。 製品形状を展開してブランクを求めまし
- ダイRを決めるには、「円筒絞りのパンチ肩半径を決める」のパンチRの決め方及び「円筒絞りのクリアランスとダイ寸法を決める」のダイ寸法をもとに決めます。それぞれの回を参照してください。 ダイRは、第1絞りから最終工程(この例では第4絞り)に向かって決めていきます。 このときに参考とするのが第1絞りのパンチRです。第1絞りのダイRは第1絞りのパンチRと同じか少し大きくします。そして、第1絞りの
- ブランクから絞り加工すると、【図1】に示すように絞りの縁は厚くなります。これは絞り変形するときにブランクの縁が収縮します。その変化が、縁の板厚増加となって現れたものです。このようなことから、絞り金型のクリアランスは、曲げと同じように材料板厚と同じとすることができません。絞り加工のクリアランスは材料板厚より大きく設定して、板厚増加を考慮します。 しかし、このような板厚増加があると、絞
- 展開計算で求めたブランク径から、何回で絞れるかを決めます。その結果が【図1】です。これは「円筒絞りの絞り回数を決める」で求めたものです。各寸法は各工程のパンチ径を示しています。 【図2】は、パンチ肩半径の決め方を示しています。ここで分かっているのは製品の底R(パンチR)のR0.3だけです(「円筒絞りのブランク展開」の製品図参照)。
- 展開計算で求めたブランク径から、何回で絞れるかを決めます。絞り加工では1回で絞ることのできる限界があります。絞り加工では目的の径になるまで絞りを繰り返しますが、加工が進むにつれて材料は加工硬化して絞りにくくなります。絞れる量を決める手段として絞り率を使います。絞り率は次のような関係にあります。 絞り率(m)=絞り後の径÷絞り前の径
- 絞り加工はブランクからつなぎ目のない容器を成形します。その具体的な内容を【図1】に示す製品形状を例にして、今後進めていきたいと考えています。 絞り加工の工程設計のイメージを示したものが【図2】です。
- 円筒絞りに要する加工力(P)は、円形ブランクをパンチがダイに押し込んでゆく力です。加工力に関係する主なものは、ブランク材の変形抵抗です。その他に、ブランク材と金型との摩擦、しわ押さえ力(しわ押さえ力に関しては、連載のこちらを参照して下さい)といったものが、関連が大きなものといえます。これらの合計が必要な絞り加工力です。 円筒絞りの加工力は、次の計算式がよく使われています。【図1】を参照して
- ここで示す曲げの加工力は、自由曲げの加工力です。曲げ加工では、形状を安定させるために下死点で底突きすることをよく行いますが、底突き加工は突き量によって非常に大きな力を必要とします。その大きさは、自由曲げ加工力の5〜10倍くらいになると考えられます。 (1)V曲げの加工力(【図1】参照) V曲げの加工力は次の式で表されます。
- (1)側方力(F) 側方力とは、【図1】に示すように、加工力に対して直角な方向に生じる力です。残り幅が少ない材料では側方力で押され、変形したりします。 パンチへの影響では横に押されることで、クリアランスが変化して抜け状態を変化させたりします。 ダイでは、切れ刃部が弱いと破損することもあります。 側方力は抜きの行程に比例して増加します。抜きクリアランスの大きさによっても変化します。
- プレス抜き加工(せん断加工)に必要な加工力を知ることは、プレス機械の選定や金型設計のためにも欠かせません。 せん断加工力(P)は、次の式で求められます。 ■式1 P=L・t・S P:せん断加工力(Kgf) L:加工周長(mm) t:板厚(mm)
- ハット曲げのような形状を1工程で加工すると、加工後の製品が金型についてしまって取れなくなることがあります。そのために2工程で加工することが多いのですが、少し工夫すると1工程化が可能な場合があります。 【図1】〜【図3】は、ハット曲げの高さ方向の時間差を工夫した金型を示しています。 【図1】で構造を説明すると、ブランクの乗った1曲げダイがあり、その内側に2工程目の2曲げダイが配置されてい
- 【図1】に示すような曲げ角度が小さい形状の製品では、通常のブランク加工→曲げ加工の2工程とせずに、1工程でブランク加工と同時に曲げを行うことができます。 抜き加工で、加工力を軽減する目的で使われているシヤー角を利用します。シヤー角をパンチもしくはダイにつけることで、打ち抜き加工力を軽減します。このときに、抜かれた材料はシヤー角形状に倣う形となります。この特徴を利用した曲げが、こ
- L曲げなどの押さえ曲げの加工では、曲げ後にダイから製品が離れるときに変形が起こることがあります。【図1】で説明します。 加工される材料は、ストリッパで押さえられて加工されます。このときに、加工された製品がダイに食いついてしまう対策として、ノックアウトで外すように設計することが多いですが、まだ、ストリッパで材料を押さえているうちにノックアウトが働いて、曲げた製品を押上て変形させてしまうも
- 押さえ曲げで、【図1】に示すような上下逆方向曲げを行おうとすると、少し工夫が必要になります。その工夫した構造例が【図2】です。 構造を説明すると、可動パンチ、ダイを使って、材料押さえを常に働かせるように工夫しています。「上曲げパンチ兼パッド」と「下曲げダイ兼パッド」がそうです。
- ツイスト加工は【図1】に示すように材料をねじる加工です。形からすると、曲げより成形に分類する方が適当に思えるのですが、どのようなわけか曲げとして扱われています。 ツイスト加工は簡単なようですが、材料を掴んでねじる(回転させる)動作は、金型構造を考えると意外と面倒です。 ひとつの例としての構造が【図2】です。構造は、上型に下降パンチ、下型に上昇パンチがあります。上昇パンチはリンク機構で
- 曲げ加工では可動ダイやカムなどを組み合わせて金型構造を作り、工程短縮して形状を加工することがあります。 【図1】のような形状の製品を、1回の加工で完成させるための工夫をしたものが【図2】の金型構造です。 上型はパンチが製品形状に合わせて作られています。特徴は下型にあります。 製品形状をした可動ダイが、可動ダイホルダーの中に納められています。 可動ダイは下から、ノックアウトで上に
- オーバーハングした曲げ、【図1】に示すような曲げです。 普通に曲げると、2曲げで、1曲げした部分がダイから外れなくなるか、外れにくくなります。どちらにしてもプレス作業をやりにくくします。 順送り加工では大きな問題となります。曲げ加工と材料の移動方向を考えて工程を工夫します。 【図2】は、このような問題の対策の一つです。 曲げ加工した後、製品がダイに沈み込んでいるから、製品の取り
- 曲げは、【図1】の(a)の突き曲げか、(b)に示す押さえ曲げが加工方法の中心といえます。 このどちらの方法でも、曲げフランジには多少のダイまたはパンチの肩面(滑り肩半径)とのこすれキズができます。ひどいときには削られ窪みとなることもあります。 軟質材や表面処理材は、特に困ることが多いと思います。 このキズの原因は滑り肩半径にあります。材料は曲げ開始時に大きな力を受け滑り肩半径に接し
- 可動ストリッパ構造を用いた順送加工では、上曲げ加工の基本形は、【図1】に示す構造となると思います。 上曲げダイはダイプレート面より、凸となりノックアウト(パッド)とストリッパ間で材料を挟み、ストリッパをパンチとして、ストリッパのスプリング力で曲げるものです。 実際には、この基本構造のままで使うばかりでなく、構造をいろいろ工夫して、変化させて加工することも行いますが、ダイ面よりかなり上
- 曲げを横から加工するには、すぐにカムが連想されます。その代表的な形が、【図1】に示すタイプのものです。 上下運動するカムドライバーがカムスライダーを動かします。カムスライダーがパンチとなります。カムスライダーとカムドライバーは斜面で接しています。カムドライバーの押し量に比例して、パンチ(カムスライダー)は前進します。強力な曲げ力を作り出すことができます。 【図2】は可動量を一定するこ
- 絞り加工では、【図1】に示すように、元の素材板厚(t1)より、絞り側壁は厚くなります。ブランク径(D)は絞りの進行とともに縮小しますが、その反動として、板厚が増加します。絞りの縁(t2)が最も大きくなりますが、その厚さは、図1に示した式で求めることができます。 絞り加工では、この板厚増加を考慮してクリアランスを決める場合と、絞り側壁の品質面から決める場合があります。 【図2】に示した
- 絞り加工では、金型の摩耗で時間とともにキズが少しずつ成長するのは自然な姿です。しかし、自然とはいえないキズもあります。そのような内容について解説します。 【図1】はたてキズです。絞りキズの代表的なものです。絞り加工時はダイと材料の間に加工油の油膜があり、材料とダイが直接接しないようになっています。この状態が破られると金属どうしが接することになり、ダイ面にかじりが発生します。これが
- 絞り製品の側壁にリング状の凹凸ができる現象です。【図1】のようなイメージになります。この現象は絞りの進行行程では、材料はパンチ、ダイに挟まれているので当たり前のことですが、発生しません。絞りの行程の進行が下死点まで達した後の、戻り行程で発生します。 ダイの中の製品はノックアウトによって押し出されますが、ノックアウトの押し力はスプリングで得る方法と、ノックアウトバーによる跳ね出し
- 絞り製品の加工で、絞りの底が【図1】に示すように凹んだり、膨らんだりする不具合現象があります。底部は置いたときの安定や印刷などに影響があります。 絞り底部の面状対の変化で、底部が凹むものは絞り行程が終わり、製品の中よりパンチが抜けていくときに凹むものがあります。これは【図2】(a)に示すように、パンチが抜けることで容器内が真空状態になり凹む(薄板材の絞り加工に多い)ものと、絞り
- 絞り製品の加工では、【図1】に示すような縁の平らな製品をイメージしますが、実際には、【図2】に示すように凹凸ができます。この凹凸の高い部分を、耳と呼んでいます。普通は4カ所に耳が発生します。低い部分は材料の圧延方向の45°に位置する部分です。
- 絞り加工で【図1】に示すように、側壁部分にリング状のマークができることがあります。このマークは「ショックマーク」と呼ばれることもあります。 初絞りのさいにできるリングマークは、ダイRが小さい状態で絞ったときに発生します。絞り初期に材料が伸ばされてできるものです。
- 円筒絞りで最も多い割れが、【図1】に示す「底抜け」と呼ばれる割れです。材料はダイ面を移動しながら変形して、ダイに入り、ダイ形状に成形されます。このとき、材料はダイ面の移動中には周方向の圧縮を受け、ダイ肩部では曲げ変形を受けます。共に材料の変形抵抗となります。この変形抵抗に抗してダイ内に材料を引き込む力は、パンチによってもたらされます。主にパンチのR部分で材料を引っ張ります。パンチRが
- 円筒絞りで、【図1】に示すように側壁部分に発生するしわがあります。口辺しわはダイR部分のみに現れますが、側壁のしわはダイR部下から側壁にかけて発生します。パンチR部から少し上にかけての発生は少ないです。
- フランジのない円筒絞りで、絞り終わりの部分でしわが発生することがあります。このような形のしわを口辺しわと呼びます。【図1】に示すようなイメージです。絞り加工ではしわが発生すると、そのしわを直すことはできません。どのような状態にあってもしわが出ないように注意が必要です。 このしわの発生状態を示したものが、【図2】です。
- フランジ付き円筒絞りは絞り加工の基本です。この絞り加工では【図1】に示すようなしわが発生することがあります。絞り途中でしわが発生すると、絞りきることができないで底もぬけてしまうこともあります。このようなしわはブランクから最初に絞る工程で発生します。この工程を、第1絞りまたは初絞りと呼びます。 初絞り加工に用いる金型を【図2】に示します。この金型は上向き絞りの構造です。下向き構造の
- ノックピンは、ダウエルピン、だぼピンなどとも呼ばれます。金型部品の位置決めに使います。 【図1】に示すような、ストレートタイプとテーパータイプがあります。 それぞれにはタップ付きのタイプもあります。JISでは金型用ダウエルピン(B5062、ストレートタイプのみ)と呼ばれます。JISには別に、機械要素として平行ピン(B1354)、テーパーピン(B1352)がありますが、型用より精度が
- 2段曲げ法:曲げ半径が2t以下に適します。 この方法は、1ストロークで2段に曲げを行うスプリングバック対策です。【図1】(a)では、大きなクリアランス(1.15t~1.3t程度)で加工します。クリアランスが大きいので、それにならって曲げ半径も大きくラフに曲げられます。 次の段階が【図1】(b)の形です。ここでのクリアランス設定は小さめ(~0.95t程度)とします。
- 外Rセッティング法:曲げ半径が2t以下に適します。 この方法は【図1】に示すように、曲げ部の外側を圧縮することで、スプリングバック対策をする方法です。曲げ内側のセッティングより、曲げ部の強度低下が少ない利点があります。 しかし、曲げ外側のRは材料の伸びに伴う板痩せによって、正確な半径をつかむことが難しい欠点もあります。90度曲げを想定して、45度付近の板痩せは5%〜30%位です。曲
- 絞りのパンチRとダイRは、小さいと割れの原因となり、大きすぎるとしわの原因となります。 パンチR、ダイRの決め方は、絞り工程数が決まった後になります。何回で絞るかの絞り工程はパンチ寸法で決めます。ダイ寸法はクリアランスを決めることで自動的に決まってきます。その後にパンチR、ダイRを決めます。 パンチRから決めていきます。決め方は最終工程から第1絞りに向かって決めていきます。
- スプリングバック対策を以下に示します。 (1)ウェッブの底突き 曲げ内側半径が2t以下に適します。 ▼解説 【図1】に示すようにウェッブ部分を圧縮すると、材料は曲げ部方向に流れ曲げ部分を圧縮します。 この方法は単に板厚を潰すという考えと、【図2】に示すような弧となっている状態を圧縮して、Aの直線にすると、弧と直線の差分が曲げ部の方向に圧縮を加え、スプリングバックを解消します。
- 曲げのスプリングバック対策は曲げ加工の基本条件にプラスされて設計される内容です。したがって、スプリングバック対策がよくても基本条件設計が正しくなければ、結果は期待できません。まず、曲げの基本条件設定を知る必要があります。U曲げの基本条件設定の内容を【図1】に示します。 スプリングバック対策要因 スプリングバックの主な要因は【図2】に示す曲げ部の応力差です。
- かす上がりは抜きかすがダイに止まらず、ダイ表面に上がってきてしまう不良現象です。バリ対策が進み抜き条件がよくなったことが、皮肉にも抜きかすとダイ側面との摩擦力を弱めかす上がりしやすくしています。 かす上がりの原因 以上が大きな要因です。その他に、磁気や跳ね返りといった原因もありますが、影響は小さなものです。 油着の原因 材料表面に付けられた加工油が、パンチ下面と材料を密着さ