押さえ曲げで、【図1】に示すような上下逆方向曲げを行おうとすると、少し工夫が必要になります。その工夫した構造例が【図2】です。
構造を説明すると、可動パンチ、ダイを使って、材料押さえを常に働かせるように工夫しています。「上曲げパンチ兼パッド」と「下曲げダイ兼パッド」がそうです。
加工過程を説明します。
【図2】で、上型が下降し、下型上の被加工材を押さえます。さらに下降すると、上曲げがはじまります。
このとき上スプリングの力は、曲げ力と下スプリングの力の合計以上の強さが必要です。
加工が【図3】(a)の形まで進むと「下曲げダイ兼パッド」が底突き状態となります。この後、上スプリングがたわみ、下曲げがはじまります。(b)のように「上曲げパンチ兼パッド」が上型のバッキングプレートに底突きしたときに加工が完了します。
金型をこのような構造にする理由は、曲げのバラツキを押さえるために、材料を常に押さえるようにするためです。この構造のように、上下のパッド(材料押さえ)がスプリングで支持されているものでは、スプリングの設計が大事で、スプリング力のバランスがうまくないと、材料押さえが十分でなくなり、寸法バラツキの原因となります。