ダイRを決めるには、「円筒絞りのパンチ肩半径を決める」のパンチRの決め方及び「円筒絞りのクリアランスとダイ寸法を決める」のダイ寸法をもとに決めます。それぞれの回を参照してください。
ダイRは、第1絞りから最終工程(この例では第4絞り)に向かって決めていきます。
このときに参考とするのが第1絞りのパンチRです。第1絞りのダイRは第1絞りのパンチRと同じか少し大きくします。そして、第1絞りのダイRの大きさは、
4t<第1絞りダイR<20t
の範囲に無くてはいけません。
第2絞りは、第1絞りダイRの100〜60%程度の範囲に減少します。第3絞り以降も同様にダイRを減少します。その状態を表したものが【図1】です。
一般的にはダイRの減少は、前工程Rの80〜60%程度とするのが多いです(今回の例)。工程数が多い、例えば10工程ぐらいかかるものでは、中間工程ではダイRを変化させないで絞りを進めることもあります。
ところで、【図1】で決めたダイRには問題があります。第4絞りのダイRが大きいのです。この例の製品図が円筒絞りの工程設計の概要にあります。参照してください。フランジのRがR0.3となっています。【図1】の最終工程(第4絞り)のダイRはR1.0です。絞りをきちんと行うためには、これより小さい半径にすることは難しいのです。そのためにこの絞りでは、フランジのRをR0.3とするために、もう1工程必要になります。
フランジのある絞り形状では、このように絞りに必要なダイRの大きさと製品が求めるRの大きさが異なり、工程を追加しないと製品が作れないことがよくあります。この形状を整えるための工程を「リストライク工程」と呼びます。