絞り加工はブランクからつなぎ目のない容器を成形します。その具体的な内容を【図1】に示す製品形状を例にして、今後進めていきたいと考えています。
絞り加工の工程設計のイメージを示したものが【図2】です。
絞り加工では、製品形状を展開してブランクを求めます。次に、ブランクを絞り、形状にしますが、ブランクから1回で目的の形状にできることは少ないと考えてよいです。
その理由は次のような点にあります。1回に絞れる径に限界があること。絞ることは、ある形状の中(具体的には絞りダイの中)に材料を押し込んで形にします。このときに材料には、押し込むための力(絞り力)と、材料が変形するときに生じる変形抵抗が発生しています。絞り力が勝てば絞ることができますが、負ければ材料が破断(割れ)してしまいます。破断せずに絞ることができる径を絞り「限界」と呼びます。この絞り限界は、いくつかの条件で決まってきます。
絞り限界以内で絞って行くことになります。ブランクから最初に絞る工程を「初絞り」と呼びます。それ以後の工程を「再絞り」とよびます。
絞りを繰り返して目的の径にした後に、形状を整えるリストライク工程を必要とすることも多いです。この工程で、形状は製品図の形に仕上がります。
最後に絞りによって変形したフランジをトリミングして、形状を整え完成します。絞り加工では材料の持つ異方性によって、丸いブランクから絞ったときでも、絞ったフランジの縁は変形して丸ではなくなります。そのため、トリミングは必然の工程と考えて置いた方がよいです。
そこで、トリミングに必要な部分をブランクは持っていなければなりません。最初に製品図からブランク計算をするときには、トリミング代を見込んで計算します。