プラスチック成形品の表面に意図的に凹凸や模様を転写することがしばしば用いられています。成形品の表面に凹凸等を付加することで、次のような効果を得ようとしています。
- 滑り止め効果
- 光沢防止
- 視覚的高級感増加
- 摩擦抵抗増加
- 密着防止
- 保水効果・撥水効果
- ウエルドラインを目立たなくする
- 成形品表面の傷防止
成形品の凹凸を設けるためには、金型のキャビティ表面にしぼ加工(エッチング加工、ブラスト加工等)を施します。
「しぼ」とは、成形品の表面に付加したしわ模様のことです。「皺(しぼ)」は、烏帽子(えぼし)の凹凸模様をそのように呼ぶことから来ている言葉のようです。また、布や縮緬を織るときぬ布地にしわをつけるために揉んだり絞ったりすることから、「絞る」が「しぼ」になったという説もあるようです。しぼ加工のことを英訳ではTEXTUREと訳します。
しぼ加工は、金型キャビティの金属材料表面を薬剤による化学的除去加工するか、ショットブラスト加工により研削材による物理的除去加工によって凹凸を付与します。金属材料表面に対する薬剤の浸食作用によって金属をその表面から除去する処理技術のことをエッチングといいます。金属材料を電気化学的または化学的溶解作用の利用で表面から浸食除去し、電気化学溶解作用を電解エッチング(electrolytic etching)、化学的溶解作用を化学エッチング(chemical etching)と呼んでいます。
しぼ加工では、単純な連続凹凸模様だけではなく、外観デザイン的な凹凸(木目、動物の皮革模様、工業デザイン形状、漫画やキャラクター、文字など)も加工することができます。
また、凹凸の深さ寸法もある程度のばらつき内に抑えた加工を施すことができます。
しぼ面は、射出成形法によって連続転写加工ができるので付加価値を低コストで高めることができます。転写状態は、成形条件でも左右されます。樹脂温度、金型温度、保圧、保圧時間などで出来栄えは変化します。