プラスチック射出成形金型部品の製作精度は、成形品の寸法許容公差によって定められます。その考え方は各企業によって社内基準があると思いますが、主要な先進国で採用されている基準の一つには、ドイツ連邦共和国で採用されているVDI(ドイツ技術者協会)の推奨基準があります。
VDIの成形品許容差の内容は以下の通りです。
成形品の寸法許容差=100として、
- 金型の製作許容差
- =1/3=33%
- 金型の摩耗代
- =1/6=17%
- 成形収縮率のばらつき
- =1/2=50%
この基準に基づいて、金型の製作精度を求めてみましょう。
【事例1】
成形品の寸法公差が±0.3mmの場合、金型の製作精度はいくらになるか?
【検討例】
成形品の寸法許容差は、+0.3+|-0.3|=0.6mm
(| |は絶対値のことです)
したがって、金型の製作許容差は、0.6×1/3=0.2mm
∴金型の製作精度=±0.1mmが妥当である。
【事例2】
成形品の寸法許容差が、±0.05mmの場合、金型の製作精度はいくらになるか?
【検討例】
成形品の寸法許容差は、+0.05+|-0.05|=0.1mm
したがって、金型の製作許容差は、0.1×1/3=0.03mm
∴金型の製作精度=±0.015mmが妥当である。