金型を成形加工で使用している途中に、なんらかの原因で部品が破損したり、折れたりする事故が発生する場合があります。金型は機械ですから、機械を構成している部品がなんらかの原因によって破損することはありえることです。重要なことは、破損の原因がどこにあるのかを究明して、再発を技術的に防止することです。
破損原因があいまいな状態のままで、核心的な技術手段を講じないままに修理をしてしまうと、同じ内容の事故が再発したり、作業者に危険を及ぼす可能性も指摘されます。
金型の破損事故の分析は、綿密な調査分析を行うことが入り口となります。
破損の種類
- 損傷(damage)
- 磨耗(wear)
- 腐食(errosion)
- 疲労(fatigue)
- 衝撃(impact)
- 過大応力(over stress)
- 破壊(fracrure)
- 破断(break、rupture)
金型の破損事故の調査すべき事項
(1)材料調査
- 製造履歴調査
- 成分分析(化学分析、不純物分析等)
- 機械特性調査(引張試験、圧縮試験、座屈試験、衝撃試験、硬さ試験等)
- 組織観察評価(マクロ、ミクロ)
- 表面性状調査、残留応力調査
- 破断面観察調査
(2)設計基準調査
- 設計前提条件の確認
(3)使用環境調査
- 作用外力調査(大きさ、繰り返し、衝撃、クリープ等)
- 外部環境調査(温度、湿度、化学的雰囲気)
- 補修状況調査
(4)シミュレーション
- 材料力学的検討
- シミュレーションソフトウエアによる検証
- 再現実験
(5)総合検討
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- 参考文献:門間改三,大学基礎機械材料,実教出版(株)