エンジニアリング・プラスチック(エンプラ)やスーパー・エンプラの中には、キャビティの表面温度が100℃を超える種類の樹脂が増えてきています。
キャビティの表面温度が90℃ぐらいを超えてしまいますと、水(お湯)による温度調節では通常、昇温が困難になります。
一般には、下記の手段が採用されます。
油温度調節
油による温度調節は、型板やキャビティに設けられた流路に、循環ポンプから吐出された油が、ジョイントホース経由にて循環することにより、温度を一定に保ちます。一旦、設定温度まで温度が上がってしまいますと、比較的安定した温度維持が可能です。
しかし、温度の立ち上がりには時間を必要とする短所があります。
また、油の取扱いは、やけどの危険性があり、さらに油の後処理が面倒であるといった点も懸念されます。
電気ヒーター
電気ヒーター(カートリッジヒーター)による温度調節は、温度センサー(熱電対等)と併用することにより、温度を一定に保ちます。熱容量が大きいので温度の立ち上がりが早い利点があります。
しかし、ヒーター周辺の温度は高く、ヒーターから離れた場所では温度が低くなり、温度分布を均一に保つことが困難になります。
また、ヒーターは、寿命がありますので、定期的に交換が必要になります。
ヒーターの取り付けは、取り付け孔とのクリアランスが重要になります。クリアランスが大きすぎますと、ヒーターが空焚き状態になり、寿命を縮めてしまいます。
PID制御方式のカートリッジヒータ用金型温度調整コントローラはヒーターの温度調節が可能ですので、オン−オフ制御形式のコントローラーよりも極めて安定した温度制御が可能になります。
温度制御をより正確に行うためには、射出成形機のプラテンと金型の取付板の間に、断熱板を取り付けることを勧めます。または、型板の周囲にも断熱板を取り付けることもあります。
【表】キャビティ表面温度が高い成形材料の例
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