プレス金型部品
- ダイセットは【図1】に示すように、上型と下型の関係を正しく保つために使用します。 ダイセットはパンチホルダ、ダイホルダ及びガイドポスト、ガイドブシュから構成されたユニット部品です。 上型をパンチ、下型をダイとしてとらえパンチ−ダイの関係を考えると、パンチ−ダイの関係をダウエルピン(ノックピン)が中継してダイセットのガイドに渡し、パンチ−ダイの関係を保つようにしています(【図1】参照)。 ダイセットの形は【図2】に示すような4形式があります。タグ:
- ストロークエンドブロックは【図1】(a)(b)に示すような形で使用します。(a)の形の使い方が多いと思います。 ストロークエンドブロックは、金型の下死点を決めるための部品ですが、一度決めてしまえばそれでよいと言うものではありません。金型によっては、再研磨をすることでダイハイトが変化する構造のものもあります。このような金型では、その都度調整が必要になります。 ストロークエンドブロックは単発型に使われることは少なく、順送金型等に使用されることが多いと思います。その設置位置は、ダイプレート等の金型を構成するプレートの外側のダイセット部分に置くことが多いです。段取り後の調整中に、うっかり手を挟む危険があります。その配慮をしたものが、【図1】(b)の形です。(a)の形での使用ではこの点に注意が必要です。タグ:
- 【図1】にストックガイドの基本要素を示してあります。 ガイド幅は材料の幅を押さえる部分です。材料幅のバラツキ(公差)を考慮して決めます。もう一つの要因として、材料の横曲がり(キャンバ)があります。これはガイド長さとの関係がでてきます。ガイド長さは最低で材料の幅と同じ長さ、できれば材料幅の2倍程度は欲しいです。ガイドの役割は、材料を金型に最初に入れる時に、ふらつかないで毎回同じ状態で金型に材料が入れられることが求められます。この条件をきめるものが、ガイド幅とガイド長さです。 ガイド高さは、製品の加工内容によって変化します。つまり、製品加工時の材料のリフト量が関係します。リフト量に合わせるようにガイド高さを決めます。タグ:
- コイルスプリング(以下スプリング)の主な使い方を紹介します。【図a】~【図f】は、主だったスプリングの使い方を示したものです。 【図a】は、ストリッパの可動量が少ないときのスプリングの使い方です。ストリッパボルトの後ろに入れます。同軸上を押しますから無理がありません。長いスプリングが使えませんから、大きなたわみはとれません。タグ:
- 金型でスプリングに期待するものは、【図1】に示すように荷重とたわみです。金型に使われるリフターピンを支えるコイルスプリング(以下スプリング)では、それほど荷重は必要でなく、たわみ量が求められます。可動ストリッパでは、主に荷重が求められます。ときには、荷重とたわみの両方が必要なときもあります。タグ:
- スクリュープラグは、M8以下のサイズではねじピッチは並目、M10以上ではピッチを1.5mmに統一しています。これは、スクリュープラグをスプリングの押しねじとして使用するとき、ねじ径とスプリングの関係をわかりやすくする目的と、もう一つはねじ径に比例してねじピッチが大きくなると、ねじの有効山数との関係から、スクリュープラグの厚さもねじ径に比例して厚くしなければなりません。ねじピッチが同じであれば厚さを揃えることができます。このような観点で、スクリュープラグの規格は作られています。 金型に使われているスクリュープラグは【図1】に示すように5種類あります。スクリュープラグは六角棒スパナ(以下スパナ)で操作します。タグ:
- プレス金型では、どういう訳か締結用のねじは六角穴付きボルト(JISB1176)が使われています。昔は六角ボルトや皿ビスなども使われていましたがなくなっていき、自然に標準化された部品です。六角穴付きボルトそのものの詳細な規格内容は、JISまたはミスミカタログの技術データ部分をご覧下さい。 残念なことに、締結ねじの使い方を明確に示す資料はありません。そのために金型設計者を「こんな事は聞けない、でもわからない」と悩ませるものです。みんな最初はそうだったのですから、安心しましょう。そのうちに使い方の感覚が養われ、当たり前になります。 そろそろ本題に入りましょう。締結ねじの使い方は、2つに分けるとわかりやすいです。プレート部品とブロック部品です。 (1)ブロック部品(入れ子、パンチ等のイメージ)の締結ねじ ブロック部品は、【図1】に示すような締結ねじの使い方が多いと思います。タグ:
- ノックピンは、ダウエルピン、だぼピンなどとも呼ばれます。金型部品の位置決めに使います。 【図1】に示すような、ストレートタイプとテーパータイプがあります。 それぞれにはタップ付きのタイプもあります。JISでは金型用ダウエルピン(B5062、ストレートタイプのみ)と呼ばれます。JISには別に、機械要素として平行ピン(B1354)、テーパーピン(B1352)がありますが、型用より精度が劣ります。タグ:
- 【図1】はエアー穴付きリフターを示しています。通常のリフターにエアーの通る穴をあけ、廻り止めを施した部品です。 【図2】(a)及び(b)は使用状態を示しています。タグ:
- 【図1】はリフター類の形を示しています。リフターは金型内の材料が傾いたり、たるんだりしないように保持する部品です。丸形と角形があります。 (1)リフターの使い方 リフターは、材料と接する面の角には丸みを付け、角を作らないようにします(【図1】参照)。材料へのキズ対策です。 順送金型では、金型内の材料はダイ面より浮かせておく必要が多くの場合にあります。材料送りの関係からです。このことはトランスファー用の金型、ロボット加工用の金型にも共通することが多いです。リフターは【図2】(a)に示すように材料が傾いたり、たるんだりしないようにバランスを取り、配置します。順送金型での配置上の注意を示したものが【図2】(b)です。材料送りのときに引っ掛からないような配置(配置よい、と示した部分)に取り付けます。タグ:
- ストリッパボルトには、【図1】に示すような種類があります。 ここに示した形状は基本形で、ミスミ標準部品では細かな用途に配慮、細分化して選択の幅を広げています。 ストリッパボルトは軸部(L)の長さで部品を保持して、部品を可動できるようにするものです。このような使い方から、吊りボルト、段付きボルトなどと呼ばれることもあります。可動ストリッパ構造の金型のストリッパ保持の使い方がよく知られていることから、ストリッパボルトの呼び方が一般化しました。タグ:
- プレス機械の精度は、プレス加工製品に悪い影響を及ぼすと共に、金型寿命も短くします。プレス機械の精度には、負荷をかけない状態での静的精度と、製品を加工しているときの動的精度があります。JISでは動的精度はありません。したがって、プレス機械購入時の精度は静的精度で行われます。動的精度はメーカー独自のもので、各社で微妙に違いがあります。以下に静的精度の主なものを示します。 【図1】にプレス機械精度の種類を示します。 (a)スライドとボルスタの平行度 スライド下面とボルスタプレート上面の平行度です。スライドが垂直運動していても、この部分の平行が悪いと、曲げ角度や絞りのしわ押さえに影響がでると共に、金型寿命を悪くします。タグ:
- 【図1】は、プレス機械のストローク送りの関係を示した図です。 プレス機械のスライドは、上死点(0°)位置から下降を始め、下死点(180°)に達します。材料送りは、戻り工程の中間点(270°)位置から材料送りがスタートして、下降工程の中間点(90°)位置で送りを完了します(標準的なタイミング)。送り装置はこのような単純な動きだけではなく、もう少し複雑な動きをします。タグ:
- プレス機械の中で最もよく使われているクランク機構プレス(クランクプレス)は,、【図1】に示すような機構となっています。 構造がシンプルであり、作りやすい機械であることから普及しています。クランク軸にはエキセン軸と呼ばれる形もありますが、最近では軸の形にこだわることは少なくなっています(プレス機械の完成度が高くなり、仕様を確認することで必要機能を満足できるため)。 もう一つの代表的な機構として、ナックル機構のプレス機械があります。【図2】に示す機構の機械です。クランク機構にリンクを追加して、スライドを駆動するようにした機械です。タグ:
- プレス機械のストローク長さは、仕事の内容によって使い分けられます。抜き加工では短く、10〜80mm位です。曲げや絞り加工では、製品の加工高さに注意して、ストローク長さを選ぶ必要があります。 絞り加工の例で解説します。【図1】を参照して下さい。タグ:
- クランクプレス等の機械プレスでは、ストローク位置によって発生圧力が変化します。この点が、ストロークのどの位置でも圧力が変化しない油圧等の液圧プレスとの大きな違いです。【図1】はクランクプレスの圧力・ストローク曲線です。 スライドのストローク位置が下死点に近付くほど、発生圧力が高くなることを示しています。理論的には無限大の圧力が得られます。プレス機械の能力表示では下死点上の位置を決め、能力を表示します。これを「トルク能力」と呼びます。 プレス加工は、プレス機械の下死点上のある位置から加工が始まり、下死点で終了します。製品加工の開始点から完了までの間の加工力変化を示すものが「製品加工の圧力・ストローク曲線」です。【図2】は製品とプレス機械の圧力・ストローク曲線を重ねて表したものです。タグ:
- プレス機械は、荷重中心(金型が仕事するときの加工力の中心)が、プレス機械スライドの中心と一致していることを前提に作られています。しかし、金型は製品形状の制約や加工方法などによって、金型中心と荷重中心を一致させることが難しい場合が多くあります。順送加工用の金型では、全てが金型中心と荷重中心がずれていると考えてよいと思います。このような金型をプレス機械に取り付けると、プレス機械中心と荷重中心がずれて偏心荷重となります。タグ:
- プレス加工で、最も多く利用されているクランクプレスでは、プレス機械の能力を表すひとつに圧力能力(加圧能力)があります。圧力能力とは、プレス機械が安全に発生しうる最大圧力です。クランクプレスでは【表1】に示すように、スライドのストローク位置によって発生圧力が変化します。そのため、圧力能力は下死点上の決められた位置での圧力を示します。【表1】の例では、下死点上5mmの位置で980KN(980キロニュートン=100Ton)の圧力が得られることを示しています。タグ:
- 材料の送り線高さは、【図1】に示すように、ボルスタプレート面から材料の移動位置までの高さを言います。「フィードレベル」または「パスライン」と呼ぶこともあります。 材料送り装置を用いて自動加工するプレス金型では、ダイハイトと共に送り線高さもプレス機械にあわせる必要があります。 【図2】はプレス金型の送り線高を示しています。ボルスタプレート上面(金型のダイホルダ下面)から、材料がダイ面からリフトアップされた位置の高さまでの寸法です。タグ:
- ダイハイトは2つあります。プレス機械のダイハイトと金型のダイハイトです。 ダイハイトは金型の取り付け高さに関する制約を示しています。プレス機械のダイハイトが主で、金型のダイハイトが従の関係になります。 【図1】に示したものが、プレス機械のダイハイトです。タグ: