メカニカル部品
- 可動体を持つ機械設備の場合、可動体の移動範囲の全てにおいて予期せぬ問題が生じないことを機械設備設計者は、設計段階で確認する必要があります。ここでは可動体の設計技法を解説します。 ・二点鎖線は想像線とも呼び、稼動状態の図示などに使用します。破線は隠れ線とも呼ばれ、見えない部分(隠れた部分)の構造体を図示する線の種類です。 ・可動部の設計は、組立図に可動範囲の最大ストローク位置を二点鎖線(想像線)で図示させます。 ・この最大ストローク位置での可動体の状態について、設計者は構造上の問題が生じないことをチェックします。 ・【図1】のビンゴゲーム機の場合、X軸テーブルの最大ストローク位置に対するケーブルベアの状態を 二点鎖線で図示しています。タグ:
- 機械装置にアクチュエータ(エアーシリンダ、電動モータなど)やセンサー類が増えると、それらの配線・配管処理のためのレイアウト設計が、(1)装置の信頼性、(2)メンテナンスのし易さ、(3)見栄えなどに影響するため非常に重要は装置設計のテーマです。特に自動機のベースプレートにレイアウト用穴は取付ねじの設計が必要です。ビンゴゲーム機を事例に解説します。 自動機の配線・配管レイアウトの重要性タグ:
- 自動機には次の様な用途のカバーが必要となります。この場合、駆動する物とカバーとの隙間を現物合わせで調整する場合があります。ここでは高さ調整が楽なカバー構造の事例を紹介します。 自動機のカバー事例タグ:
- 供給機構エスケープメントでは、供給部品を分離し、次の動作(例えば、移載など)を自動で行い易くします。このため、エスケープメント後のワークステーションにはほとんど全ての自動機でセンサによる部品の有無の判断機能を持たせます。 ・【写真1】はカラーボールを回転式分離機構で1個だけ分離してシューターに送り、その先のシューター端の位置決めステージ部の写真です。 ・ボールステージにボールが有ることを光電センサで確認した後に、ハンドユニットがボールを取りに移動します。 ・カラーボールがビンゴゲームのために配列されるテーブル上のボールステージの真下にも光電センサが設置され、ボールの有無を確認してハンドユニットの移動先の良否を判定しています(【写真2】)。 ・光電センサの固定は、検出物に対して適切な位置決め(角度、高さ、距離)が必要のため、L型板金の固定穴は長穴形状にし、必要な場合は高さ調整のためにL型板金を2部品に分離します。タグ:
- カラーボールストッカーを回転させる駆動モーターの取付ベースの設計を考えてみます。 ・カラーボールストッカーと駆動モーターは弾性のあるプラスチック製丸ベルトで繋げられ回転運動が伝達されます(【写真1】)。 ・したがって、駆動モーターは、カラーボールストッカーの回転軸に組付けられたプーリーと駆動モーターのシャフトに固定されるプーリーとが同じ高さと適正な丸ベルトの張力状態と成る様に取り付ける必要があります(【写真1】)。 ・一般的には、駆動する側(この場合はカラーボールストッカー)は位置調整機構を持たせません。それは、駆動側の機構は複雑な組立構造となる場合が多いことや、高精度を確保する必要が多いため位置調整機構などは持たせずに単純化させるためです。 ・したがって、駆動アクチュエータ側(この場合は駆動モーター)に位置調整機構を持たせます。 ・ビンゴゲーム機の場合、駆動モーターの位置決めは、高さの位置出しはスペーサーブロックの設計寸法でだし、丸ベルトの張力調整のために取付ベースのボルト固定穴を長穴形状にしています。タグ:
- 分離(エスケープメント)機構のユニットについて解説します。 ・分離(エスケープメント)機構は直線状にワークを押出す方式と回転しながらワークを分離する方式が代表的な駆動機構です。 ・直線状に押出す方式は、エアーシリンダを利用し、ワークをストックしているマガジンの形状とワーク形状に応じてプッシャー部形状を設計します。 ・ビンゴゲーム機に使用した回転しながら分離する方式(写真)は、回転モーターやラック&ピニオン機構の応用などさまざまな駆動機構で設計されます。 ・短時間設計と標準化を考えた場合、市販のユニットを活用することで多くの利点が得られます。 ・下図(【図1】)はSMCのロータリーテーブルの外観図です。 ・空気圧を利用した揺動アクチュエータで、回転方向の正・逆変更と揺動角度の調節が簡単に出来ます。 ・揺動停止時の衝撃を弱めるためにショックアブソーバーが内蔵された仕様もあります。 ・【図2】は、代表的なロータリーテーブルの内部構造図です。エアーシリンダ機構を利用して直線状の ラックを往復運動させ回転揺動運動に変換させています。タグ:
- ビンゴゲーム機は、カラーボールがランダムに選択されるようにストッカーを常時回転させます。この低速回転機構について解説します。コンベア駆動や上下方向の昇降機構などの駆動機構に応用できます。 ・低速回転機構は、ミスミの回転軸、ベアリングホルダセット、丸ベルト用プーリ、丸ベルトと駆動モータで構成されています。 ・回転軸は片端断付・片端おねじタイプ、ベアリングホルダは保持剛性を高めるためにダブル止め輪付タイプを選定しています。丸ベルトは低速駆動で使い方が簡単なため選定。プーリは錆防止と軽量化のためにアルミ材を選定しています。 ・カラーボールストッカーの回転軸保持機構は【図1】と同じ機能を持つ機構ですが、ベアリングホルダセットを採用することで、【図1】のようなベアリング保持のためのプーリへの設計・加工が不要にできます。タグ:
- 複数の機械要素を組付けた複雑な機構の場合、代表的な機械要素の組付け状態を図示して理解しやすくするために断面図を描きます。ここではビンゴゲーム機を事例に断面図の書き方を解説します。タグ:
- ・搬送レールなどのシュート部に連続して貯まった供給部品(ワーク)を1個ずつ送り出す装置をエスケープメントと言います。 ・エスケープメントはシュートに貯まるワークの貯まり具合や送り出す動作速度に対して、安定して確実な送り出し処理が出来なければ成りません。 ・ビンゴゲーム機の場合、シュート方式を自重を利用した傾斜面のころがりを利用しシンプル構造としているため、エスケープメントもカラーボールのガイド幅の寸法をうまくきめることで設計しています。 ・昇降機構に取り付けたカラーボールホルダーの幅をカラーボール1個分の寸法とし、このカラーボールホルダーが上に挙げられる時に自重で貯まった次のカラーボールは後に押し戻される動作をします。タグ:
- ・部品供給の自動化・省力化では、ワークの自重を利用したり、アクチュエータを用いて機動的に移動させたりと、部品形状や次工程の作業との関係などで供給方式を決めます。 ・ビンゴゲーム機の場合、ビンゴ配置板からの回収にはカラーボールの自重を利用した傾斜面の転がりによる自重方式回収機構を採用し、そこからカラーボールをストック回転テーブルへの戻しには機動方式昇降機構を採用しています。 ・自重移動と機動移動を有効に組み合わせることで、両方式の利点を活かした簡易的・コンパクトでかつ、信頼性の高い部品供給機構が実現できます。 ・機動方式の採用に偏り過ぎると不必要に複雑な機構構造になりやすいため、自重による落下や傾斜面転がり・滑りによる簡易的な移動方式を併用することが工夫のしどころです。 ・自重で低位置に降りた部品は、機動方式で上の位置に移動されて位置エネルギーを再度確保し、チャックなどで把持され、移載機構で位置決め処理されて1サイクルが終了します。この1連の移動サイクルをビンゴゲーム機は利用しています。タグ:
- 部品供給の代表的要素機構に昇降機構があります。ここではビンゴゲーム機の昇降機構を事例に解説します。ビンゴゲーム機の昇降ユニットは、回収したカラーボールをストック回転テーブルに戻すものです。 昇降ユニットの構成タグ:
- 部品供給の代表的要素機構に昇降機構があります。ここではビンゴゲーム機の昇降機構を事例に解説します。 ビンゴゲーム機の場合、カラーボールを供給するための機構ユニットは次のサブユニット(要素機構)で構成されています。タグ:
- ピックアンドプレイス(P&P)機構は、自動機の機構部の中でワークを直接触るメカニズムのためワークの特徴に合った設計(構造、材質、運動方式、サイズ、その他)が必要となります。ビンゴ自動機を事例に解説します。 ・P&P機構は、「ピック」=取り出しと「プレイス」=取り置きの処理をする機構です。 ・P&P機構が採用される事例として次の項目が挙げられます。タグ:
- 設備フレームとは設備の骨格を構成する構造体、匡体とはフレームに外装カバーなどを組み付けた外装全体の意味です。これ等は自動機の性能維持のみならず見栄えやレイアウト効率性に関係する重要な設計項目です。次のような課題を設計構想の段階で検討を行い、製図を進める必要があります。 (1)設備フレーム・匡体の検討課題 -1.自動機機能に対してタグ:
- 電解研磨が、研磨しようとする製品を陽極として、電気化学的にエッチングしたのに対して、化学研磨は電気を使わない研磨法です。酸またはアルカリまたはこれに塩類などを混合した液に、金属または合金を浸漬して、光沢のある平滑面を得ます。 この研磨で、大きい凹凸を除去することは困難であるので、表面の精密仕上げには適していませんが、予備研磨された面の細かい凹凸を除き、光沢を出す表面仕上げ法として適しています。 このようなことから化学研磨は、美観を目的とする表面処理、あるいは他の表面処理の前処理法として用いられ、また、生産効率や生産原価などの点で非常に有利な処理方法であります。 化学研磨には、次のような特徴があります。 (1)電解研磨のように直流電源を必要としないので、電流分布の均一性などの問題がなく、複雑な形状のものも、比較的容易に、一様に研磨できる。 (2)操作が簡単で、一度に多量の製品を処理できる。 (3)研磨後の金属表面は、酸化物などが除去された状態で、金属面が露出している。タグ:
- 耐久試験機に採用した既知の自動機設計要素を解説します。 1.ギアモータとチェーン駆動 ・往復運動の機構には次の方式があります。ここでは、 コンパクト構造で耐久性に優れる点で(4)を選定 (1)エアーシリンダ駆動 (2)タイミングベルト+モータ駆動 (3)ボールねじ+モータ駆動 (4)チェーン+モータ駆動 ・チェーン駆動には、スプロケット(SSP40B)をキー溝で固定、チェーン(CHES40)もSUS製を選定 ・可動部は、可動範囲内での設計上の問題をチェックするため、可動端側を二点鎖線(想像線)で製図し設計図に残します<(A)(B)部>。タグ:
- (6)蛍光試験 この方法は、汚れに蛍光染料を加え、洗浄後、その残渣に紫外線を当てて蛍光を発光させ、写真または目視によって観察するものです。蛍光染料を含んだ油が蛍光を発する光の強さは、油の量に比例しますので、清浄な金属面での発光は、全くないので黒く写り、油が残存していれば発光し、その強さによって残存油の量を示します。 従って、蛍光染料の入っていない通常の汚れの検出には、この試験は適用できませんので、製品の清浄度を調べるというより、洗浄液の老化状態や洗浄工程が適切かなど、洗浄系の適否を判別するのに使われ、効果を発揮します。 通常、図1に示すような、ルミノグラフ写真装置を使って評価しています。この装置を使うと、洗浄前の油の付着量の平均0.113mg/cm2のものを洗浄して、肉眼で識別できる残油量は0.004mg/cm2であることが分かっております。
- 防振マウントの防振効果は振動伝達率Tr(%)で表現します。 ・振動伝達率 Tr < 100% の場合、振動減衰効果が得られています。 ・振動伝達率 Tr = 100% の場合、振動減衰効果が全く得られていません。 ・振動伝達率 Tr > 100% の場合、共振状態にあることを示しています。 振動伝達率Trは次式で算出できます。 解説 ・上の式で、装置の固有振動数 f0 と外乱振動 f が等しい場合、分母がゼロとなりTrが無限大(共振現象)を示すこととなります。 ・防振効果が得られない場合、( f=√2 x f0 )の関係が成り立ちます。 ・防振効果が得られるには、( 振動数比λ>1 )、即ち、( f >√2 x f0 )の条件の時です。タグ:
- 地震の強さの表現に、「震度」と「マグニチュード」があります。2つの言葉は、ともに地震の大きさを表現していますが、震度は地震の揺れの大きさの指標で、後者は地震のエネルギーの大きさの指標です。ここでは、振動に用いられる用語を解説します。 1)振動を表わす4要素 振動は次の4要素で表現されます。 a)振動周波数(f) b)振動加速度(A) c)振動速度(V) d)振動変位(D) 4要素は次の関係式の関係を持っています。タグ:
- 外部の振動源から伝播してくる振動の影響を小さくすることを「除振」と言います。 1)除振と生産現場の問題 除振を必要とする生産現場の問題の事例は次のようなものです。 例: (1)近隣の工場のプレス装置が稼動すると自動機の位置決め精度のバラツキが大きくなる。 (2)自動搬送装置が稼動すると印刷膜厚が局所的にバラツク。 (3)搬送機が稼働中は精密加工機の加工面にキズの発生比率が増大する。 2)除振対策の事例 除振対策の基本は、物理現象として直感的に理解し易いシンプルなものです。しかし、対策がシンプルである分、後手の対策では効果を得るのが難しいです。 除振対策の事例 (1)振動源のある基礎と除振したい装置の基礎を一体基礎とせずに分離基礎とする。タグ: