プラスチック成形金型は、その名の通り、「金属」で作られている型です。金属は、強度が高く、硬くて、熱を良く伝導します。金型では、鉄が多用されていますが、一部ではニッケル、銅、アルミニウム、亜鉛、チタンなども使用されています。
金属の組織を顕微鏡で観察してみると、規則正しい固まりを観察することができます。このような組織のことを結晶と呼んでいます。結晶は、金属の最も小さな構造である原子構造が規則性をもって結合して出来上がっています。原子はあまりにも小さすぎて電子顕微鏡でもはっきりと観察することは困難なのですが、X線を使用する等その他の方法で原子構造を分析することはできるようになってきています。
そうすると、金属の結晶構造には大きく3種類あることが判っています。
その3種類を以下に示します。
- (1)
- 面心立方格子(こうし)
- (2)
- 体心立方格子
- (3)
- 稠密(ちゅうみつ)六方格子
(1)面心立方格子(こうし)
原子が14個から成り立っている格子で、立方体の面の中心に1個の原子が配置されています。
面心立方格子は、展延性が豊かで、薄肉へ伸ばすことができる特徴があります。
<主な該当する金属>
- アルミニウム
- 白金
- 鉛
- カルシウム
- 銀
- ニッケル
- 金
- 銅
(2)体心立方格子
原子が9個から成り立っている格子で、中心に1個の原子があり、その周囲に8個の原子が配置されています。 体心立方格子は、展延性に乏しい傾向があります。
<主な該当する金属>
- 鉄
- タンタル
- カリウム
- クロム
- バナジウム
- ナトリウム
- リチウム
(3)稠密(ちゅうみつ)六方格子
原子17個から成り立っている格子で、中心の1個の原子の周囲に6個の原子が配置され、6角形を形成しています。この格子も展延性に乏しい傾向があります。
<主な該当する金属>
- 亜鉛
- チタン
- カドミウム
- マグネシウム
- コバルト