ライニングとは、鉄板や鉄管でできためっき槽や輸送管の内部に耐食材料を貼り付けて、腐食環境から構造体を保護する働きをさせるものです。
塗装による塗膜の厚さが100から数百μmであるのに対して、ライニングの厚さは、数ミリであるのが普通ですから、その化学的な安定性や機械的強度は、塗膜より格段に優れています。
めっきなど表面処理の工程には、めっき槽、脱脂槽、酸洗槽、電解槽、中和槽、水洗槽など各種の強酸や、強アルカリ、酸化性の強い液などを収納・貯蔵する容器が沢山あります。これらの槽はその収納する液体の重量や処理物の重量に耐えるために通常は鋼鉄製です。この槽類の耐食性を支え、処理液の汚染を防止しているのが耐食ライニングです。
現在よく用いられている耐食ライニング材料を【表1】に掲げました。これらの薬剤に対する耐食性を考慮して選択して適材適所に用いられています。
これらの特徴は、耐食性ばかりでなく、比重や熱伝導率にあります。比重が小さいことは軽量であるということで、ライニング工事におけるハンドリングが非常に楽であり、費用を安価にすることができます。
また、熱伝導率が金属に比べて非常に小さいことは、鉄鋼のそれが48.3w/m・kであることと比較すると、液温の保温効果の高いことが分かります。
【表1】ライニング材料の耐食比較
|
※ | 注1) g/cm3、注2) MPa/mm2、注3) w/m・k、○耐食性良好、×耐食性不可 |